鍼灸の施術方法

耳のお悩みに対する施術

難聴や耳鳴りのする病気はたくさんあります。
当院の施術で多いものに「突発性難聴」「メニエール病」「中耳炎」などや、その後遺症があります。
ここでは、突発性難聴の施術例をあげます。


突発性難聴は、突然、片方の耳の聞こえが悪くなり、耳鳴りやめまいなどを伴う病気です。

耳の中、鼓膜のさらに奥、内耳にある有毛細胞(音を感じ取って脳に伝える)が、なんらかの原因で傷つき、正常に働かなくなることで起こります。

原因として、有毛細胞に血液を送っている血管の血流障害や、ウイルス感染などが考えられていますが、まだハッキリとは分かっていません。


40~50歳代の働き盛りに多くみられ、明確な男女差はありません。
ストレスや過労、睡眠不足、糖尿病などがあると起こりやすいと言われています。

治療開始が遅れるほど治療効果が下がり、完治が難しくなってしまいます。
発症から3か月が回復の目途と言われています。

通常は、耳鼻咽喉科で治療を受けることになります。
内服や点滴の副腎皮質ステロイド薬による薬物療法が中心ですが、血流改善薬、ビタミンB12製剤、高気圧酸素療法、ステロイド鼓室内注入療法などが加わることもあります。


突発性難聴の治療に鍼灸を併用すると、治療効果が底上げされる可能性のあることは、国内外の多くの研究で報告されています。
鍼灸には、次のようなメリットがあります。

  • 現代医学的な治療と併用できる。
  • 薬物のような副作用の心配がない。
  • リラクゼーションを促し、ストレス軽減を助ける。
  • 体の自然治癒力をサポートすることで、現代医学的治療の効果の底上げが期待できる。

実際の施術では、血流を改善し、内耳の働きをサポートしていきます。

  • 首や肩のコリをほぐす。
  • 内耳を含めて頭部への血流をサポートする。
  • 手足にある、耳の働きをサポートする経絡(※)やツボを刺激する。

例えば、次のようなツボをよく使います。

耳門(じもん)
耳の周辺にあるツボで、耳の血流をサポートし、耳鳴りや難聴の回復をサポートします。
合谷(ごうこく)
手の甲にあるツボで、特に首から上の血流サポート、ストレス軽減を助けるなどの働きがあります。
足三里(あしさんり)
膝の下にあるツボで、胃腸の調整、全身の血流サポートなどの働きがあります。


もし、突発性難聴でお困りなら、早めに鍼灸を試してみることをおすすめします。
体に優しく、安全な施術法として、きっと役立つはずです。

※中国医学の伝統的な概念で、体に存在する「気」「血」「水」などが流れるライン。

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目のお悩みに対する施術

目の病気はたくさんあります。
当院の施術で多いものに「眼精疲労」「仮性近視」「正常眼圧緑内障」などがあります。
ここでは、正常眼圧緑内障の施術例をあげます。

[正常眼圧緑内障とは?]

緑内障は、視神経がダメージを受けることで視野(見える範囲)が狭くなり、最終的には失明する可能性がある病気です。
一度ダメージを受けた視神経は元に戻らず、現在の医療では、視野を回復させる治療法は確立されていません。

日本では、40歳以上の約20人に1人は緑内障と言われていて、国内における中途失明の原因の第1位になっています (※2)。

急性、慢性、先天性、続発性など様々なタイプがあり、原因としても高い眼圧(※1)、視神経の弱さ、目の血流の悪さなど色々なことが考えられています。

正常眼圧緑内障は、眼圧が正常な範囲(10~20mmHg)であるにもかかわらず、視神経が傷つき、視野が欠けていくタイプの緑内障です。日本の40歳以上の緑内障患者のうち、7割を占めています。

この病気の厄介な点は、気づかないうちにジワジワと進行し、いつの間にか下の絵のようにして視野が失われていくことです(黒い部分)。

現在の医学では、正常眼圧緑内障の進行をできるだけ遅らせるために、主に以下の治療が行われます。

① 眼圧を下げる点眼薬
 現時点の眼圧から20%~30%下げることを目標にして視神経への負担を減らし、病気の進行を遅らせます。


② レーザー治療・手術
 点眼薬で十分な効果が得られない場合、レーザー治療や外科手術で眼圧を下げることがあります。


このように、現代医学では病気の進行をできるだけ遅らせるために、眼圧を下げることが重視されます。

鍼灸ができること]
鍼灸は緑内障の直接的な治療法ではありませんが、体のバランスを整えることで、目の健康をサポートできる可能性があります。

① 血流をサポート
  視神経がダメージを受ける要因の一つに、血流の問題が関係していると言われます(※2)。
 → 鍼灸はリラックスを促し、全身の血流をサポートします。

② 眼精疲労のケア
  スマートフォンやパソコンの使用が多いと、目の周りの筋肉が緊張し、血流が悪くなることがあります。
 → 鍼灸は目の周りの筋肉をゆるめ、眼精疲労の軽減をサポートし、目の血流をサポートします。

③ 全身のコンディションをととのえる
  体調がととのうと、ストレスの軽減や睡眠の質向上につながります。
 → 「寝つきが悪い」「疲れやすい」といった不調をケアすることで、現代医学の治療を受ける体の準備をととのえることが期待できます。

実際の施術では、次のような点に配慮しつつ、全身を調整しながら目のケアをします。

  • 首や肩のコリをほぐす。
  • 目を含めて頭部への血流をサポートする。
  • 目の働きをサポートする経絡やツボを刺激する。
  • 胃腸の働きをケアし、目に必要な栄養の消化吸収をサポートする。

例えば、次のようなツボをよく使います。

目の周囲にあるツボ
顔にあるツボで、目の周囲にあるツボから反応の強いものを選びます。
首の後ろ側の風池(ふうち)、後頭下筋群の反応点
目をたくさん使うと首の後ろ側の筋肉が緊張するので、念入りにケアします。
合谷(ごうこく)
手の甲にあるツボで、特に首から上の血流サポート、ストレス軽減を助けるなどの働きがあります。
太溪(たいけい)、太衝(太衝)、足三里(あしさんり)
目の働きに大切な肝や腎の経絡(けいらく)をサポートしたり、胃腸や全身の血流をサポートしたりします。


[まとめ]

  • 常眼圧緑内障は慢性かつ進行性の病気で、いちど失われた視野は回復できない 。
  • 現代医学では、眼圧を下げて病気の進行を遅らせることが最も重要。
  • 鍼灸は、血流サポートやストレス緩和など、目の病気に対して間接的なケアが可能 。

緑内障に配慮した施術で、リラックスできる時間を提供いたします。

この先も、車の運転を続けたい、お孫さんと遊びたい、旅行にでかけたいなど様々な楽しみがあることでしょう。

緑内障と上手に付き合いながら、健康な毎日を送るために、鍼灸を活用してみてはいかがでしょうか。

※1 眼圧とは、眼球内の圧力を指し、眼球の形を保つために必要な圧力です。目の中には房水という液体が流れていて、目に必要な栄養を運びつつ、一定の圧力を保ちながら循環しています。これにより、眼圧は一定に保たれています。


※2 参考HP 「公益社団法人 日本眼科医会」
※参考資料 『厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業 網膜脈絡膜・視神経萎縮症に関する調査研究 平成29年度 総括・分担研究報告書』

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